【小児薬物療法認定薬剤師】受験資格と給料や待遇に変化があるの?

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小児薬物療法認定薬剤師って何?

「小児薬物療法認定薬剤師」とは、「小児科領域において医薬品に関わる専門的立場から医療チームの一員として小児薬物療法に参画するための能力と適性を備え、さらに患児とその保護者等に対しても適切な助言および行動ができる薬剤師の養成を目的として、日本小児臨床薬理学会と日本薬剤師研修センターが平成24年度から創設した制度(日本薬剤師研修センターより)」です。

設立されて約8年になりますが、2021年12月31日現在で703名が認定されているそうです。私が受験した頃は1000人弱いたはず・・・。
なぜ減少しているのか、なぜ増えていないのか不思議に思いました。

どうしたらなれるのかをよく質問されるので、単純にこの制度が認知されていないとも考えられますが、認定薬剤師になることで何ができるのかを聞かれることも多いです。

まずは認定の取得を目指した勉強をすることも、小児科に興味を持つ薬剤師にとっての一つの目標になるかと考え、少しでもこの制度を理解してもらえればと思いました。

この認定を取得するのに必要な手順を記載します。

①小児薬物療法研修会に申し込む

毎年3月下旬頃に申し込みが始まりますが、先着順で定員が250名程度と少なく数日で締め切られてしまうこともあります。
申し込みを希望する場合は、3月頃からマメに主催者である日本薬剤師研修センターの情報サイトを確認するようにしましょう。

②小児薬物療法研修会に参加する

この研修会はeラーニングeラーニング形式なので、インターネット環境下であればどこでも受講できます。
全36講座あり、約半年かけて受講します。各講座内で表示されるキーワード報告が必須となります。

正解率100%で研修会終了とみなされ、受験資格を得ることができます。
毎月違った講座が配信されますが、最終月は過去全ての講座を視聴することができます。

③小児薬物療法認定薬剤師の資格試験を受ける

全ての小児薬物療法研修会を終了し、試験資格を与えられたら試験を受けます。年に1度の試験で、マークシート方式です。

④統括講義を受ける

小児薬物療法認定薬剤師の資格試験と同日に行われる統括講義に参加します。

⑤小児関連実務研修を修了する

日本薬剤師研修センターに登録された、小児科病棟で薬剤管理指導業務が実施されている病院において1日(原則6時間)の小児関連実務研修を受けます。

自身が勤務している病院が登録されている施設での研修は不可となり、他施設での研修が必須となります。

この研修は、小児薬物療法研修開始数ヶ月後(具体的な開始時期については連絡が来ます)から試験に合格した年の末日(試験に合格した年の12月31日)までに行うこととなっており、試験合格前でも可です。人気の施設はすぐに埋まってしまいます。
また、もたもたしていると果てしなく遠い地域の施設しか残っていないこともあるため、連絡が来たら早めに申し込みをすることをおススメします。

この認定は、保険薬局または病院・診療所での実務経験が3年以上あり、現に保険薬局または病院・診療所に勤務している薬剤師であれば申し込むことができるので、他の認定よりは薬局薬剤師も取得しやすいように感じます。

更新は3年ごとに必要です。

資格更新するためには、日本小児臨床薬理学会の年会に1回以上参加する必要があります。
また、日本薬剤師研修センターが主催・認定する講習会などに参加することや、小児薬物療法の症例を15例以上(1年に3例以上)報告すること(初回の更新のみ必須)、小児医療関連の学会で発表すること、小児医療関連の専門雑誌で研究発表することなどで、3年以内に30単位以上(1年に5単位以上)を取得することが求められます。

実際に認定を取っても更新する薬剤師が少ないことが、認定薬剤師の数が毎年増えていかないことの原因なのですが、個人的には「小児関連の講習会が少ない」ことが一番の要因だと感じています。

年会は毎年の参加ではなく3年のうち1回でも可ですし、症例は小児科領域の実務を行っていれば報告可能です。
学会での発表や研究発表も、やる気になれば可能だとは思いますが、研修シールを頂けるような講習会がないのです。

もともと少ないのですが、コロナ禍でより減っている印象です。
WEB開催等で全国から参加できるような講習会が増えれば、更新できる薬剤師も増えてくると思うので、ぜひとも検討いただきたいものです・・・。

次に、現場では何をしているのか、何が求められるのかがわからない、という言葉もよく聞かれます。
やってみたいけれど、何をしたらいいかわからないし、自分には無理だから諦めた、と言われることもありました。

「小児科に興味はあるんだけど、難しそう」「何を勉強すればいいのかわからない」と感じている人が多いな、という印象を受けました。

この認定薬剤師制度では、大まかにいうと以下の3点が薬剤師に求められていると言われます。

①小児に対する適切な薬物療法の実務にあたること
②小児薬物療法認定薬剤師としての専門的立場から、医療チーム内で必要な情報や知識を共有すること
③患児とその保護者に、薬剤や治療に関する適切な情報を提供し、実践的な服薬指導を行い、医薬品の取り扱いや生活についてのアドバイスや教育を行うこと
④学校など、地域に対する薬物についての適切な教育、助言を行うこと

難しそうに感じるかもしれませんが、やることは他の診療科と大きく変わりはありません。
小児の特性を理解して、と考えると難しそうではありますが、大人でも腎機能や肝機能を考慮したり個人差を考えますよね。知らない疾患に出くわした時は、疾患や治療方法を調べ、処方薬が何のために処方されたのかを理解使用とすることと思います。

嚥下困難な患者さんに対しては、粉砕可能な薬剤か、簡易懸濁での使用が可能か、他の剤形へ変更できないか、代替薬はないか、等考え提案すると思います。

小児の場合は、特有の疾患も多く、薬剤も適応外や粉砕での使用が非常に多いため、文献検索や薬用量の確認を行う回数は多くはなりますが、大人の場合も通常と異なる使用方法の場合は、文献等を調べることと思います。

実際に小児科病棟に介入する、と決まった時に医師や病棟スタッフに聞かれたのは、「投与速度や、投与経路も確認してもらえるんですか?」「配合変化とか相互作用は調べてもらえますか?」「投与量とかも確認してくれるんですよね?」「配薬とか混注、調製はしてもらえるんですか?」でした。

介入後は「○○さんが、薬の事で質問があるって言っているので、時間ある時にお願いします。」や、「○○ちゃんのお母さん、お薬を使うのが可哀そうって言ってて・・・。薬の必要性と、使用方法の指導をしてほしいです。」「この薬の代替って何がある?」「この薬とこの薬は混ぜて大丈夫かな。」「点滴静注じゃなくて、静注はできるかな?」などが殆どです。

小児科で現場のスタッフが求めているのは、薬剤師が思っているような難しいことではなかったです。

薬剤の特徴を理解して、必要に応じて提案していくことは小児科以外でも求められていますし、配合変化や相互作用についての知識は小児科以外でも必要です。

小児科だから特別難しいということではなく、まずは薬剤師として当たり前の知識を日々積み重ねていくことが一番大切なのではないかな、と思います。

時々聞かれるのは、「お給料は上がったの?」です。

はっきり言ってしまえば、変わりません。
ただ、資格を取ったことで小児病棟に配属してもらえたので、配置の希望は通りやすくなりました。

勉強をして資格を得ること、そして横の繋がりができるため、他施設の現状や小児科領域の情報共有ができることで、自分のスキルupにはなるかと思います。

小児専門の薬局や病院に転職となる時は、「小児薬物療法認定薬剤師の資格を持っています」、と言えば、交渉次第でお給料upは期待できるかもしれませんので、腕次第かもしれません。

この制度は「専門薬剤師」ではなく「認定薬剤師」です。現在のところ小児の専門薬剤師制度はありません。
小児薬物療法認定薬剤師が増え、小児科領域を勉強する薬剤師が増え、小児医療に薬剤師が貢献できると理解されていけば、将来はより専門性を求められ「小児専門薬剤師」の資格ができるかも、と思う今日この頃です。

※参照: 此方から→ → → 小児薬物療法認定薬剤師制度とは

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